週刊 Maru's News

 


1999年2月28日

 ああ、イギリス! 校長ガムテープ磔の刑

 

その日、ダラスタウン・ハイ校の校長は、学食の食堂の壁にガムテープで磔にされていた。

足は完全に宙に浮き、顔は免れてはいるものの体中、ガムテープだらけ。

その側で生徒会が生徒達に、ガムテープの測り売りをしている。

生徒の暴動?いえいえ、この収益は地元の慈善基金として寄付される予定。

(Sunday Times 1999年2月7日)

 

 

注)チャリティのお金を集めるために、イギリスでは何らかのデモンストレーションを

  することが多い。

  慈善団体オクスファム(OXFAM)の行うオクスファム・ウォークが有名。

  参加者はある一定の距離を歩きとおす約束を友人知人にして、その約束を果たし

  た場合はチャリティのためのお金を友人知人から集める。


1999年3月14日

 母の日に捧げない気球の旅

 

イギリスの母の日は三月だ。今年は14日だった。

その直前にとある広告記事が私の目をひいた。「気球にのりませんか?母の日のプレゼントに最適!」

ついこの間まで、「気球に乗りませんか?バレンタインのプレゼントに最適!」という記事だったような気がする。

高所恐怖症で貧乏性の私は、こんなものプレゼントされたら一生恨むぞ。

(この分だと、来年は「ドキドキハラハラ、バレンタインの告白はバンジージャンプで!」という記事が出ること間違いなし。)

ちなみに、お値段は6人のグループで申し込めば一人あたり約20000円。

気球に乗るときは頭上のバーナーの熱を避けるために帽子が必要。ナイロンの帽子は避けましょう。

これらの問い合わせをしたとき、パンフレットを送るからと名前と住所を聞かれた。

Mrs Tomoko Kanda と言うと、「OK,OK, Mrs Komoko Panda」 と確認された。ちっともOKではない。

 

で、母の日当日…気球は飛ばなかった。誰も申し込まなかったらしい。

   
   気球の飛んでない母の日の空


1999年3月20日

 密閉監禁窒息死

 

…した人がこの建物の中(写真)に5人。6人目は窓が密閉される前に救助されました。

     

というのはウソ(ごめんちゃい)。

実はこれ、窓税対策。

この税金、はじめての導入は1696年。窓の数に課税されました。

1746年にはさらに窓「ガラス」に課税(せこい!)。

こりゃたまらんと住民は次々と窓をふさいだわけです。

散々な不評にもめげずに1851年まで続きました。

イギリスだけでなく、パリでもこの窓税対策の跡が見られます。

ちなみにフランスの密閉窓と言えば有名な「シフェの別荘」。

こちらは崖に「にせ窓」をつけて、さも崖の中身がお屋敷であるかのように見せかけた一種のお遊び。

同じ密閉窓でも生活の切実さはありません。


1999年3月28日

 

 「シェイクスピアの恋」、シェイクスピア プラス 三人の劇作家 

第71回アカデミー賞の授賞式で、7部門の受賞をした映画「シェイクスピアの恋」(原題'Shakespeare in Love')。

ぜーーーーーんぜん、史実に基づいていないけれど、どたばたお祭り騒ぎと衣装美術が楽しめます(ミュージカル喜劇音楽賞も受賞していたが、音痴の私には「音楽もよかったよぉ」とは言えない…不幸だ。)。

シェイクスピアに助言を与えるマーローは実在の劇作家。ケンブリッジ大学卒。

無神論者で同性愛者、二重スパイだったとかなかったとか、放蕩無頼の大酒のみ。享年29歳。

天寿をまっとうしていればシェイクスピアに並んだと言われます。

もう一人は、ねずみを体中にはわせている少年、ジョン ウェブスター。こちらも実在の人物。

映画ではほんの子供ですが、文学史上は大劇作家。どろどろ恐怖狂気のすさまじい劇を書きます。

もう一人の実在の劇作家は…お楽しみのために言わないでおきましょう。


1999年4月4日

 針ねずみ様用階段

 

その日、大学をぽてぽてと散歩していた私は、池に浮かぶ土左衛門針ねずみを発見。

近くにあったPrivate(私有地)の看板を引っこ抜いて、それをスコップ代わりに埋めました。

      誰も知らない、看板の悲しき過去

 

翌日、大学に「ということで、池に落ちた小動物がのぼれるような階段かスロープを、池に付けてもらえませんか?」とお願いすると、「大学の協議会にかけてすぐに付けましょう」という返事。

これは、「動物権」が社会的にほぼ確立しているイギリスならではの対応(日本だったら、わたしゃ、馬鹿モン扱いされたかも)。

 

        
     小動物用非常階段(決して酔っ払いが板切れを投げ込んだわけではありませぬ)

 

日本では、私が知る限りでは、1902年5月1日に「中央口論」に発足を発表した「動物虐待防止会」が最初の試み(他にもっと早い活動をご存知の方がいればご一報ください)。

1903年2月6日に新聞「万朝報」に堺利彦がこの運動を紹介しています。

 

さて、こちらで有名な動物権擁護運動家にインタビューアーが一言。

「イギリスでは動物権という考えがほぼ確立されました。次は男性の権利ですね。」


1999年4月11日

 頑張れ!ダニエル君

 

イングリッシュ・ナショナル・バレエがケンブリッジに来ました。

バレエの筋は海賊とギリシャの奴隷娘が恋に落ちる。

そして、海賊は見事、彼女を略奪して愛を成就。

ところが、誰がどう見ても海賊役のダニエル君は相手役のシモンヌ嬢に風格負け。

ジュニアソロとソロの壁はやはり越えられないのか、二人は「海賊と奴隷娘」と言うよりは「女王様と奴隷」。

 

頑張れダニエル君。負けるなダニエル君。

ダニエル君、負けるな判官贔屓の日本人、ここにあり(字余り)


1999年5月3日

 藤…棚ならぬ藤壁!

 

藤と言えば藤棚。そう信じてました。

ところが、イギリスの藤は、あっちでもこっちでもツタのように、家の壁をにょろにょろ這っているのです。だから、花は壁に密着。

これでは、「藤棚は、花がぶら下がって、首吊りのようで縁起が悪い、庭に藤棚は作るな」という日本の古色ゆかしい迷信も、顔色無し。

時々、藤棚もあることにはあるのですが、藤壁に押され気味です。


1999年5月9日

 体重計ります 1回40円

 

その体重計は、高さ約1メートル50センチ。かなり巨大。

高さはケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースオジサン並み、重さはそれ以上(推定)。

体重計

 設置場所は、

  パーキングエリアのトイレのそば。

  デパートやスーパーのトイレのそば。

  飛行場のトイレのそば。

  駅のトイレのそば。

 とにかくトイレのそば。

 

自動販売機のように、コイン投入口あり。1回、20ペンス(約40円)。

何が悲しくて、衆人環視のなか、さらし者になって体重を計らなくてはならないのやら?

体重って、自宅でお風呂上がりにこっそり計るものかと思っていました。

(何しろ、女性にとって、それはトップシークレット。)

それでも、コインをがちゃこんと入れ、いそいそと体重計にのって、「あら、少し太ったわ」なんて言っているおばさんをあちこちで見ます。

トイレのそばにあるのは、用を足して少しでも軽くなった体重を計るため???

それにしては、着服で(もちろん、脱衣になるわけにはいかない)どた靴を履いたままですが…?


1999年5月16日

くたばれ!フランス革命

 

フランス革命は偉大だって、学校で習いませんでしたか?(「ベルバラ」のオスカルだって、最終的には民衆に味方するし)

ちょっと前のことになりますが、BBCで「怪盗スカーレット ピンパネール」という連ドラをやってました。(日本語だと「怪盗紅ハコベ」…なんかカッコ悪いぞ)

主人公のイギリス貴族が、ルパンも真っ青、ジェームズボンドもなんのその、縦横無尽に馬を走らせ、革命中にフランス貴族を助けて回ります。

この主人公、気障気障気障気障気障、気に障ること限りなしの気障。

対して、フランスのロベスピエールなんてほとんど冬彦さん。

原作は1905年発表。作者はハーレクインロマンス風の描写で夢見る乙女達に当時、絶大な支持を受けたバロネス・オルツィ。

テレ番組評は、「こういう番組を面白がる我々は、フランス革命を悪と見なす世界でも珍しい国民だ」と豪語(それとも、ひらきなおり?)。

ははー、まいりやした、としか言えません。


1999年5月23日

このおやじ、だれじゃ?

 

最近、本屋のベストセラー売り場でいつも見かける本。

表紙に黒の燕尾服、白のシルクハット、胸ポケットに花一輪、縞ズボン姿のおやじ。

どう見ても、その風貌は一世紀前のヴィクトリアン。

A Positive Final Appearance という下の方に妙に縮こまった題名。

対照的にばーんとでっかい著者名。

Alec Guinness(アレック ギネス)。

このおやじだれじゃ?ギネスビールの初代社長か?

 

謎に思っていると某雑誌の書評欄にその本が。

Sir Alec Guinness (アレック ギネス卿)、とある。

Sir (サー)ということはどこぞの貴族か?

1985年に自叙伝出版(大時代な恰好してるが、現代人だと判明。)

1996年に自叙伝のアップデート版出版 (自伝オタクか?)

同年、日記 My Name Escapes Me を出版、ベストセラーに。

1999年現在、1996年夏から現在に至る体験記が再度ベストセラー本。

1914年生まれ。当代きっての人気役者。

 

もう彼が誰かお分かりですね。

 

 

 

 

 

 

 

スターウォーズ出演。オビ ワン ケノービー役。


1999年5月30日

ナメクジ大衆酒場

 

ペットショップなどでよく見かけるこの逸品(?)。

商品名は「ナメクジ大衆酒場(Slug Pub)」。

使い方は、あーら簡単。

 1.中にビールか腐ったミルクをいれる。

 2.庭に出しておく。

 

あなたの庭のナメクジも、これでもうナメクジ酒場のと・り・こ。

朝には、この鉢の中で、魅せられたナメクジ達が、あわれ、土左衛門となっていること、間違いなし。

あなたの大切な花や野菜を、化学薬品無しでナメクジから守ります。(商品の宣伝ではありません、念のため。)

お値段、約1400円(£6.99)。


1999年6月6日

オッシャレー .  .  . なの?

 

白の壁に黒の木枠。一階より二階が、二階より三階が大きい頭でっかちの建物。

ヨークなどでは上階が広すぎて、月日を経るうちにどんどん前傾し、今にも倒れそうな家も。

イギリスではお馴染みのこの造り、ジェティ(張り出し)と呼ばれています。

15ー17世紀(シェイクスピア存命(1564ー1616)の頃)に普及した建築様式です。

頭でっかちな理由は?

上階に少しでも広い空間を得るため?それとも下の階の窓ガラスを雨風から保護するため?

それもあったようですが、物の本によると、

「超オッシャレー、ってカンジィ」と当時の人が思ったからなのだそうです。

私の目から見ると、頭でっかちで恰好悪いのですが…。


1999年6月12日

血塗られた町並み

 

イギリス東部のサフォーク州には、血の塗り込められた家々が立ち並ぶ。そこは、血染めの土地。

 

…と言っても、人間の血ではありません。

サフォークと言えば、あの鮮やかなピンクの町並み。サフォークの土に家畜の血を混ぜて、壁土として使用します。

(豚と牛の二説があり、どちらが正しいか、両方とも使ったのかは不明)

すると、サフォークピンクと呼ばれる美しい発色が得られます。

サフォークを散歩している時に、ちょうど壁塗りをしているおじさんがいました。

「豚ですか?牛ですか?」

「最近じゃ、うちはペンキです。」

 

がっくり。

 

    サフォーク外にも、サフォークピンク風の建物が。もちろん、これもペンキ。


1999年6月20日

化石売りのおばさん:立身出世物語

 

大工だった彼女の父親は、1810年に死亡。このとき、彼女はわずか11歳、兄は14歳。

残された家族は、たちまち貧困に苦しんだ。

そして彼らは、化石を見つけては売って、暮らしを立てるようになる。

やがて、メアリー アニング(1799?−1847)は、完全な魚竜の骨など、次々と貴重な発見をする。

買い手は金に糸目をつけなかった。かくして、メアリーは莫大な財産を築き上げていく。

 

労働者階級出身で全く教育を受けていなかったが、彼女の化石の知識は豊富で、当時の学者を驚かせている。

ヴィクトリア朝には、貧困の中、化石で生計を立てていた人間が彼女の他にいた。化石の中に人間の歴史が見える!?

(イギリスの博物館で化石を見る機会のある方、発見者についての説明にもご留意下さい。)


1999年6月27日

「世界平和のために踊る人々」−純文学風(爆)

 

私の家の向かいに、世界平和を願う人達のコミュニティーセンターがある。先日も、世界平和のために踊っていた。

5〜6人の人達が輪を描いて、ゆっくりと歩を進める。歌声は念仏風の単調な調べ。風に運ばれる太鼓の音。生け垣越しに見える彼ら手が、天に差し伸べられひらひらと舞う。

そこへ、一人の老人が、おぼつかない足取りで近寄っていった。誘蛾灯に誘われる蛾のように…。

 

いやはや、いろんな人がいるものですね。

まぁ、他人のために祈るのは悪いことではないですし。

表のポスターによると、http://www.cam.net.uk/home/Nimmann 「レインボーネットワーク」なるものがあるそうです。


1999年7月4日

上に参りまーす:アンモナイト

 

左をご覧くださいマセ。

こちら、アンモナイトの断面図でございまーす。

矢印部には、かつて小室(仕切られた一つ一つの空洞部)をつなぐ管が通っていました。

さて、こちらの管を通しまして、海水中から空気を殻の小室へと出し入れして、水中でぷかぷか浮かんだり沈んだりしていたとか。

それでは皆様、実行してみましょう。

上に参りまーす>(小室に空気が入り浮き袋のように浮かぶ)。

下に参りまーす>(小室に海水が取り込まれ沈む)。

ただし、これはあくまでも現存するオウムガイからの推測ですので、本当の所は、ワタクシ、アンモナイトになったことはごーざいませんので分かりかねます。ご了承のほどを。

 


1999年7月11日

あなたのお庭にアクセサリー

 

イギリス人の庭にかける情熱は、限りがありません。

芝を刈る。毎週、刈る。何がなんでも刈る。花を植える。ハーブを植える。

温室を作る。サンルームも作る。池も造る(もちろんお手製)。

小鳥の餌をつるす。羊毛もつるす(小鳥が巣を作る材料用)。巣箱もつるす。

それでも飽き足らないのか、写真のようなガーデンアクセサリーが売られています。

    

とんぼ:羽から羽まで約30センチ。ペアでセットになっているのでお得です。

カタツムリ:体長約20センチ。夜になると光ります<ウソ。

カワセミ:体長25センチ。川の宝石と呼ばれるカワセミがあなたのお庭に!

ほかにも直径35センチくらいのモスラ…いえ、蝶々などがあります。

庭の塀にくくりつけたり、木に接着したりと、楽しみ方もいろいろ。

これで、庭が一層引き立つ…んでしょうか!?


1999年7月18日

PC

 

会話中に、「ああ、それって、PCに触れてる!」とイギリスで言われたら、別にパソコンの話じゃぁございません。

PC(Political Correctness)、訳すと「政治的妥当性」。

放送禁止用語を口にすると、「PCに触れてる」と言われるわけです。

 

代表例

Policeman (ポリスマン):性差別用語。女性の警官もいるからPolice person(ポリスパーソン)に。

Go Dutch:直訳では「オランダ式で行く」。オランダ人はけちだという悪評から、「割勘にする」の意味。

オランダ人に対する偏見がPCに引っ掛かりアウト。(日本だと「トルコ風呂」が問題になった事がありました。)

このPC、ときには?と思う事も。

 

例えばディケンズの名作「オリバー トウィスト」。

ユダヤ人の悪役フェイギンは、身寄りの無い子供を拾ってはスリやら泥棒を仕込んで、あがりをはねる強欲ジジイ。

ユダヤ人への偏見だということでPCに引っ掛かり、良い奴として演出されるときも。

うーむ、シャイロック(シェイクスピア「ベニスの証人」のユダヤ人金貸し。金を返せない若者に、借金のかたとして身体の肉をえぐって寄越せと要求する。)が良い人だったら、作品が成り立ちませんがな…。


1999年7月31日

謎のボリショイ、白鳥の湖

 

ボリショイバレエがロンドンに来ている。

チケットは日本で見る場合の半額以下。これは行くしかない。

行けば、ターナー調の色使いの舞台も衣装も麗しく、踊りは天下一品、音楽もすばらしかった。

ところが黒鳥が出ない!最後まで出ない!

黒鳥が出ないから、王子はだまされようがない。

白鳥のオデット姫と一緒に魔王の所にのろいを解いてくれと、な、な、なんと、平身低頭にお願いにあがってしまうのだ。

天下のボリショイ、新解釈に対する意気込みは買いたいが…私は黒鳥が見たかったぁぁあああああ!!!


1999年8月15日

空爆シェルター(高さ約180cm)お一人様用

 

私「これ、なんですか?」

博物館のおじさん「空爆シェルター。一人用ね。」

私「何でこんな所に。」(ケンブリッジ産業技術博物館の前庭にある)

おじさん「戦後は、魚市場で魚の日よけに使われていたし、リサイクルですよ。」

(なんだか分かったような分からないような説明。)

私「はははははは、それはいろいろと便利なシェルターですね。中に入ってみても良いですか。」

おじさん「もちろん。」

 

…入ればそこは、まるで垂直の棺おけの中。


1999年8月24日

ホッターボッター今昔

 

ホットウオーターボトル(Hot-Water Bottle)、略してホッターボッター。(オーストラリアだとホッティと略します。)

要は湯たんぽ。

ヴィクトリア朝では陶製の容器(写真左)を使いましたが、現在ではゴム製(写真右)です。

       

これが日本でならば、どう見ても氷枕。

お湯を入れた後は、熱いゴム面が直に肌に触れないように、専用カバーでくるみます。


1999年8月30日

イギリス版「鬼は外」

 

材料:豚一匹、針、ピン、その他小枝など。

レシピ(<うそ):1.豚の心臓を取り出します。

2.1に針やピンを突き刺して、ハリセンボン科の海魚ハリセンボン状にします。

3.それを煙突に投げ込みます。

 

材料が手に入らない時は、子猫の死体を丸まる一匹分、煙突につっこんでもOK。

これで、煙突から邪悪な呪いや、不幸が入り込むのを防ぐことが出来る……

……という迷信がヴィクトリア朝のイギリス南西部の農村にあったそうです。

逆に縁起が悪そうな気がしますが…。

 

  (写真は実物、猫の骨と豚の心臓)


1999年9月11日

気を付け!前へ倣え!

 

とは言わなかったでしょうが、この木製足型、ヴィクトリア朝時代に、

女子学校で立ち姿矯正に使われたとか。

 


1999年9月19日

ケンブリッジ植物園

 

夏は有料、冬は無料(花がないから?)。

うちから徒歩5分。

私は、会員になって春夏秋冬朝昼晩(嘘:晩はやっていない)通いつめる常連。

ある日、園内にスピーカーがないことに気がつきました。

どこにもない。一つもない。はて、迷子のお知らせはどうするのだろう?さて、閉園のお知らせは?

上野動物園だったら、あちこちのスピーカーから蛍の光が流れるではありませんか。

ある日、閉園直前に私は目撃しました。

片手に鐘をがらんがらんと振りながら、縦横無尽に自転車を走らせる植物園のおじさんを。


1999年9月26日

イギリス葬式事情

 

イギリスでは、一人あたりの葬式にかかる費用は、1997年次で平均26万円相当(Mintel Market Intelligence “The Funeral Intelligence”より)。

日本に比べると、「え、それだけ?」と思われるかも知れませんが、こちらには香典の習慣がありません。

さらには、この10年で、必要な葬式経費は約2倍に跳ね上がったとか。

インフレ率を考えても、これはかなりの飛躍。

「この先、この調子で経費が上がるとして、あと10年長生きすると52万円。20年だと104万円。

大変!これじゃ、おちおち長生きも出来ないわ。」などと心配する人も、いることでしょう。

そこで、最近、某株式会社から登場したサービスが、未来の自分の葬式を注文し、現在の相場で支払いを済ませておくというもの。

遺族に負担がかからない上に、どこの葬儀屋で葬儀を出したいかといったことまで、細かく希望に添うとか。

新手の保険の一種としても考えられるこのサービスの成否は、この株式会社が注文者よりも末永く健在であるかどうかにかかっているようです。


1999年10月2日

理想

 

この度、ケンブリッジにあるアングリア ポリテクニーク大学に84歳の新入生が入学。

ジェシー フォーブズさんは、ケンブリッジ大学で経済学を学び、その後、同アングリア ポリテクニーク大学で教鞭をとり、定年退職しました。

そして、今回学生として20世紀の歴史を学ぶために戻ってきました。

本は重いので、お買い物キャリーでごろごろ運びます。

メガネをかけてもなお、本の字がかすむので、虫眼鏡が必需品です。

おお、ここに私の理想の老後が。


1999年10月10日

中身は?

 

イギリスでは、火葬を嫌い土葬を選択する人が多い。(アメリカでも土葬が多い。だからこそ、映画の「ゾンビ」が可能。日本だったら、死体が生き返っても、火葬済みのぼろぼろの骸骨で、迫力がいまいちだし、触るだけで崩れそうだ。)

さて、写真はマーローの教会で見かけたお墓。石棺の蓋が切り株に載っている。

可能性としては、

 

1.自然をこよなく愛する故人が、斬り株をくりぬいて、お棺にすることを遺言した。(遺体は斬り株の中。)

2.誰かが悪戯で、石棺の蓋を斬り株に載せた。(石棺の本体とその中のご遺体はいずこ?)

3.石棺が風化して、蓋だけが残ったものを、教会の人が斬り株に載せた。(遺体も風化して、風とともに去りぬ…うわー、その空気をマーローで私は呼吸してたのかあ。)

 はてさて?


1999年10月25日

風邪をひいた理由

中国の偉い人がケンブリッジに来た(と言えば、誰のことか分かると思いますが。)。

ケンブリッジ図書館を視察し、その後、講演会場に移動するとのこと。

というわけで、図書館前はすごい人だかりになった。

1.歓迎の旗を振る中国人

2.チベット解放を叫ぶイギリスの人権擁護団体

3.台湾は中国の一部ではないと叫ぶ台湾人

4.警察警察また警察

 

通りかかった私が、「政治的なことは勉強不足で自分の意見が定まっていないので手伝えないが、それ以外のことだったら。」と言ったところ、荷物番をおおせつかった。

結果として、中国の人も台湾の人も荷物を預けていくことになり、自分のやっていることに疑問がわいて、胸が痛んだが、仕方がない。

 

すると、中国人の見るからに高そうな背広を着た中年男性が来て、中国の旗を私に押し付けた。

「私はただの荷物番。」と言うが、このおやじ、英語が通じない。

普通は、ケンブリッジにいる外国人は観光客でもない限り、学生か研究者だから英語が通じる。どうも変だ。

旗をどうして良いか分からない。捨てるとぶん殴られかねないし、よそさまのものであっても国旗は国旗だから、むやみには扱えない。

だからと言って、その旗を持っているのは、私の意思に反する。寒いなか、上着を脱いで旗をくるむ。

中国の人たちは、どこから持出したのか、太鼓をたたき、獅子舞の獅子のようなものまで持出して、踊るわ歌うわの大騒ぎ。

イギリス人の人権擁護団体は、"Free Tibet"(チベットを開放せよ!)の大合唱。

台湾陣営、"Taiwan’s Future, Taiwan’s Choice!"(台湾の将来、台湾の選択!)。

やがて、後二者は"Shame on You !" (恥を知れー!)と声を合わせた。

台湾陣営のリーダー格と見られる学生は、額に鉢巻を巻き、ハンドスピーカーで音頭をとる。

60年代を目の当たりに見るかのようだった。

声が枯れてくることを見越して、喉飴を配っている学生もいる。表情が悲愴だ。

中国陣営はこれとは対照的だ。

デモの最中でも、あちこちで、記念写真をっていた。ケンブリッジに来るのははじめてのようだ。

召集されたのか、このためにわざわざ来たのか。

いずれにせよ、ケンブリッジ在住の人間ばかりでないのは確かだ。

学生であれば、大概、図書館やなにかで名前は知らなくても見知った顔が大半のはずだ。

第一、中国人はこんなにはケンブリッジに住んでいない。

 

先ほどの中年男性が、今度は、講演会のチケットを大量に買いこんで、それを配っていた。

なにがなんでも講演会場を盛況にする心積もりらしい。

やがて、図書館視察を終えた「偉い人」が講演会場に移ると、彼らも皆、そちらへと移った。

荷物番の私は後に残った。

ずっと上着なしだったので、風邪をひいた。喉が痛い。


1999年12月5日

 日の丸、マンガ …そして栄養ドリンク

 

ケンブリッジの日本人学生宛てに、しばしば来る就職案内。

現地採用の日本人が欲しい会社に、卒業後もイギリスに残りたい学生を斡旋する目的らしい。

以下は、そのうちの一つロンドンキャリアサービスの案内書。

   

日本といえば、日の丸、マンガ、…そして栄養ドリンクなのだろうか。


1999年12月12日

 ヨーグルトが安かった

 

ヨーグルトが安かった。普段500グラム約300円するものが、200円くらいだった。

なぜに?とヨークヨーグルトを観察する事しばし。ジーーーーー <観察するするどい視線

そして発見。200グラム用のふたを500グラムのヨーグルトに間違えてつけてしまったらしい。

200グラムと書いてある上に、500グラムというシールが貼ってある。

 

しかし、こういうシールが用意周到にあるということは…今回が初めてではないと見た。


1999年12月19日

 御墓は語る!?

 

イギリスの教会のあちこちで見る「なんだか良く分からないが偉い人のお墓」。

石棺の上に本人の像が横たわっている。この像、色々な事を意味するとか。

たとえば、写真は、カースルクームのセント・アンドリュー教会にあるバロンの御墓 (この人のお祖父さんのそのまたお祖父さんはヘンリー一世)。

像の足はライオンの上に置かれ、手は半分鞘から抜かれた剣にかかっている。

これは、彼が戦死した事を意味する。

さらに組まれた足は、二度、十字軍に加わった事を意味するのだそうだ。

そこで私は疑問に思った…三度だったら、足を複雑骨折させた形で三箇所で組ませるのだろうか…。

 

 

よく考えると、三度の十字軍に全て参戦するのは、最初が1096年で最後が1187年だから、無理だった…。


2000年1月16日

人種不明のフェイギン

 

イギリスの文豪ディケンスの「オリバー トゥイスト」は、世界中でミュージカルや映画になっている作品。

さて、原作では、悪役はフェイギンと言う名の赤い髪に鉤鼻のユダヤ人。

ところが、ご覧のように、オランダ版「オリバー トゥイスト」のミュージカルのフェイギンは、赤い髪でも鉤鼻でもありません。

シェイクスピアの「ベニスの商人」以来、イギリス文学では数々の悪役を割り当てられてきたユダヤ人ですが、最近では、これが人種差別や人権問題に絡み、ことは複雑に。

アンネ フランクが隠れ住んだ家があるオランダ。

また、オランダではダイヤモンド加工が有名ですが、19世紀中ごろから末にかけては、ダイアモンド労働者の約60パーセントがユダヤ人だったとか。

それやこれやで、人種不明の「フェイギン」は、文学作品の原作への忠実さ云々と言った問題はさておき、やはりオランダらしい配慮の現れと言えそうです。


2000年1月16日

マーローの吊り橋

 

イギリスのマーロー(Marlow)と言えば、「釣魚大全ホテル」。

開高健さんの翻訳「釣魚大全」と林望さんの紹介で、あまりにも有名。

だがヴィクトリア朝フリークの私のいちおしは、ホテルではなく、その前にある吊り橋。

 

橋そのものが建造されたのは1832年。第一次選挙法改正の年。

正確にはヴィクトリア朝は1837年からであり、ジョージ4世が摂政をしていた摂政時代にあたる。

しかああああし!!!見て欲しい、このヴィクトリアンヴィクトリアンした造りを!!

鋳鉄(鋳型に溶かした鉄を流し込んでつくる)の技術が普及したのはヴィクトリア朝だ。

錬鉄(鉄をトンテンカン打って形を作る)よりもはるかに簡単に、鉄で飾りものがつくれるようになった。

それまで高くて手が出なかった鉄の飾りものが比較的安価に手に入る!!!

嬉しくて嬉しくて、本来そんなもの必要がない機能性重視の「橋」に、後のヴィクトリア朝の人達が、べったんべったん意味不明な鉄飾りをつけたらしい。(写真1)

なにしろ、「そんなところ誰が見るんじゃあ」と思わず突っ込みをいれたくなるような橋の下にまで、白鳥模様が入っているのだ。(写真2)

 

 (写真1)   (写真2)矢印が白鳥模様の飾り


2000年1月30日

CBBC (Children BBC)

 

天下のBBCには、CBBC(子供BBC)という子供向け番組がある。

対象は小学生。日本で言うポンキッキと言ったところかもしれない。

しかし!この番組、子供向けとは言え なかなかあなどれないものがある。

先日のトピックは、「消費者の権利を守る」。

 

小学生Aが登場。

「ケロッグのシリアルでトークンを集めて、おまけの時計を送ってもらったの。でも、家についた包み
を開けて見たら、壊れてたの。だから、「壊れてました、取り替えてください」って、送り返したの。そう
したら次に来たのも、壊れてたのよ。で、また送り返したら、次に来てたのも壊れてたの。」

子供BBCのお姉さんは、

「ということで、ケロッグに私達が問い合わせてみました。ケロッグは時計がどうしてそんなに壊れや
すいのか調べて、壊れにくい時計を作ってくれました。ということで、これが新しい時計、今度は大丈
夫だと思うわ。それからケロッグからあなたに貴重なアドバイスをありがとうと言う事でお礼の品が届
きました。」

画面が切り替わって、子供BBCのお兄さん(人種差別問題を配慮して、お姉さんが白人の場合は必ず有色人種。)が、

「トークンでもらった景品にも、消費者の権利があります。覚えておこうね。さあ、皆さんも、こういう困
った事が無いかな。あれば、子供BBCに連絡を下さい。電話番号はXXXX, メールアドレスはXXXX
です。」

 

この番組、見ていると イギリスでサバイバルするのに、ひじょーに役に立つ。


2000年2月4日

CBBC パート2

子供BBCが「消費者の権利を守る」コーナーで、やっていたのが「クレームのつけ方」。

場面は、子供BBCのなかなかファンキーなおねー様がデートに出かけようとしているところから始まる。

 

おねー様はシャワーを浴びたあとのバスタオルいっちょのお姿。

口紅をぬって、マニュキュア塗って、いよいよお洋服をお召しになる段階で発見!洋服が縮んでいるのだ。

洋服のタグには20度以下のお湯で洗濯してください、とある。

20度よりぬるいお湯で洗濯した事を確かめてから、早速店にクレームをつけに。

 

例1(悪い例):おねえさん、怒りくるって大声で

「この洋服、縮んだのよ!ちょっとどうしてくれるのよ!お金返してよ!」

大声に反応して、警備員がやってきてお姉さんは連れ去られるのであった。

 

例2(良い例):お姉さんはあくまで礼儀ただしく、

「すいません、この洋服、取り扱い説明どうりに扱ったのに縮んでしまいました。お金を返していただけますよね。」

店員はむくれて「レシートが無いとー、ちょっと駄目なんですけっどー。」

「はい、これレシートです。駄目だったら消費者保護委員会に連絡しますね。」

ということで、始終にこやかなおねー様は、ふくれっつらのお店の人からお金を返してもらったのであった。

うーん、なかなかすごいぞ。

こうして、イギリス国民は、にこやかに権利をごりごり主張して、にこやかにびしばしクレームをつける術を子供のころから刷り込まれるのね。


2000年8月6日

広島 in Cambridge

 

八月六日は広島に原爆が投下された日。

この日にはケンブリッジでも精霊が流しが行われる。

前もって広島のために精霊流しを行うと言うポスターが張り出され、人々が集まってくる。

行ってみると全部で30人ほどの人が集まっていた。

意外なことに、日本人は私の他に一人だけだった。

集まったイギリス人たちに話し掛けてみると、どうして灯篭を流すのか、その意味さえ知らない人が多い。

それでも、蝋燭に火をともして、それから皆で原爆で亡くなった方のご冥福をお祈りし、灯篭をケム川に流す。

聞けば20年もこうしていると言う。

主催団体は通称ケムピーCambridge Peace)という反戦団体だが、ポスターを見て来た人も多いようだ。

ケム川にゆらゆらと浮かぶ精霊流しの灯篭は、下流でボートに乗って待ち構えているケムピーのメンバーによって回収される。

「自然を汚さないように」だそうだ。